ジェネリックが使えないケースはあるの?

ジェネリック医薬品の疑問

「家計と国の医療費の節約になるなら、少しでも安いジェネリックを使おう!」と思う人もたくさんいると思います。しかしせっかくその意思があっても、ジェネリックを使えないケース、もしくは考慮したほうがいいケースもいくつかありますのでご注意ください。

その1-そもそもまだジェネリックが出ていない

ジェネリックは、先発薬の特許が切れてから製造・販売されますので、当然ながらまだ新しい薬にはジェネリックが存在しません。 一般的には発売後、10年以上は経過する必要があります。

特許期間は薬によってもまちまちです。新薬の製薬会社も、特許期間を少しでも長くするためにさまざまな試みをおこなっています。途中で新たな添加剤や製法を発見するなどして、さらなる特許を取得し、専売期間の延長に取り組んでいます。

さらに一度発売された薬には「再審査」もおこなわれます。新薬は十分な治験を終えてから世に出ますが、実際に市場に流通してからもさらに効果や安全性を確認するために、一定の再審査期間が設けられるのです。 特に新しい有効成分を使った薬ほど再審査期間は長くなります。

先発薬がこの期間にあるうちは、ジェネリックの承認申請ができません。つまり特許のみならず、再審査期間も満了してからジェネリックが出てくるのです。

その2-医師がジェネリックへの変更を「不可」にしている

ジェネリックを希望しても、医師がOKを出さなければ調剤薬局はジェネリックを出すことができません。

たとえばジェネリックに否定的な立場をとる医師の場合は、すべての薬を先発薬にこだわることもあります。また薬によって、ジェネリックにしてもいいものとそうでないものを分ける医師も少なくありません。

自分の経験上、ある程度の実績と効果を確認できているジェネリックなら、積極的に処方する医師もたくさんいます。しかし実際に患者さんから「効き目が悪かった」というマイナス評価が多く寄せられているジェネリックや、まだ実績に乏しいジェネリックの場合は、ひとまず様子見をすることもあるのです。

多くの医師は、自分なりに患者さんの安全を第一に考えて判断していますから、よく説明を聞くことも大切です。

その3-先発薬との価格差が少ない場合

ジェネリックのメリットは、何といってもその価格の安さですから、先発薬との差がほとんどないような場合は、ジェネリック選ぶ必要性に乏しくなります。

特に日本では、2年ごとに「薬価改定」がおこなわれており、その都度、薬の価格が引き下げられています。ですからジェネリックが出るころには、先発薬の価格も低くなっており、あまり差がないということもあり得るのです。 中には、まれにジェネリックのほうが高いという薬もあります。当然ながらこの場合は医療費の削減にならないため、ジェネリックに切り替える必要がありません。

ただし価格差は、薬によっても大きく異なります。一般的に「画期的で効果的な新薬」ほど、薬価改定でも価格が下がりにくい傾向にあります。つまり先発薬の価値が高ければ高いぶん、ジェネリックとの価格差は開いてくるのです。 ですから人気のある薬の特許が切れると、多数の会社から一斉にジェネリックが出ることもあります。

その4-患者さんが先発薬に慣れ親しんでいる場合

いくらジェネリックが安くて、家計と国家の財政を救うことにつながるとしても、患者さんが長い間、慣れ親しんだ薬を無理にジェネリックに変更する必要はありません。

特にジェネリックへの切り替えが遅々として進まない薬に、塗り薬や湿布薬、点鼻・点眼薬などがあります。これらは飲み薬と違って「使い心地」も関わってきますので、いくら効能が同じでも使い慣れたもののほうがいいと感じる患者さんが多いからです。

また生活習慣病の薬など、患者さんが長い間使い続けていて、体調のコントロールがうまくいっている場合も然りです。一般的に生活習慣病の治療薬は、長期的なコストがかかるため、できればジェネリックに切り替えたほうが薬代の節約にはなります。

ただし高血圧や脂質異常症、糖尿病、心臓疾患などは、薬によるコントロールが非常に重要な病気です。使い慣れた薬で上手に体調を維持できているところに、ジェネリックに切り替えて万が一の違いが生じてしまっては怖いため、医師もジェネリックの処方には慎重になっています。

同じく抗うつ薬や抗不安薬などの、精神科領域の薬にも同じことがいえます。こういった薬は、人によって相性が大きいのはもちろんのこと、自分に合った薬を持つこと自体が「お守り」になる効果もあるものです。

たとえば「何かの発作が起こっても、いつもの薬を飲めば大丈夫」という安心感が、治療そのものに役立っていることもあります。ですから無理にジェネリックに変えず、先発薬を使い続けるケースが多く見られます。

このようにジェネリックには、購入できない、もしくは強引に切り替えないほうがいい場合もあります。医師とよく相談した上で、無理のないようジェネリックを活用しましょう。