なぜ日本ではジェネリックの普及が遅れているの?

ジェネリック医薬品の疑問

厚生労働省が総力をあげて取り組んでいる「ジェネリック医薬品の普及活動」。その甲斐あって少しずつシェアは伸びているものの、欧米の先進国と比べると日本はまだまだ遅れをとっている状況です。
そこには、さまざまな問題が横たわっています。

先発薬とジェネリックの価格差が少ない!?

日本におけるジェネリック医薬品の普及率は、2013年時点でおよそ27パーセントです。一方、アメリカなどの諸外国では60パーセント以上を占めており、「同じ効能なら、少しでも安い薬を選ぶ」ことが当たり前となっています。

日本で普及が遅れている原因はさまざまですが、その1つが「先発薬との価格差」の問題です。

私たちは健康保険制度のおかげで、病院で処方されるほとんどの薬を3割ないし1割負担で購入できます。ですからよほど頻繁に薬をもらう人でない限り、調剤薬局で「高すぎる!」と感じることは少ないのではないでしょうか?

これがアメリカになると、事情は大きく変わってきます。国民皆保険制度のないアメリカでは、そもそも一般庶民が病院にかかること自体が少なく、「よほどの時」に限られます。医療費が日本よりもずっと高いからです。
そして薬をもらう時も、安価なジェネリックを選ぶことが当たり前だと考えています。

また民間保険に加入していても、多くの保険会社では「薬はジェネリックを使うよう」推奨しています。少しでも会社の負担を減らすために、これも当然のこととされています。

つまり薬代が安い日本では、ジェネリックのメリットを今ひとつ感じにくいのだと考えられます。実際、薬によっては先発薬との差がほとんどないものもあります。
国もそういった事情を踏まえ、ジェネリックの発売時価格をさらに下げることを目指しているところです。

「後発品=信用できない」という意識が強い!?

次に挙げられるのが、私たち国民の間に「ジェネリック医薬品への不安感」があることです。

もともと日本人は「ブランド意識が高い」といわれますが、こと医薬品となると、慎重に安全を期したいという気持ちは決して間違いではないでしょう。やはり大手の製薬会社が長い期間をかけて開発し、実際に使われてきた薬のほうが安心できると思うことは、ある意味自然な考えだといえます。

一方、欧米では日本よりも合理的な考えが根付いているため「同じ成分で同じ効能なら、安いほうがいいに決まっている」と、比較的素直に思えるのかもしれません。つまり国民性の問題でもあるように思います。

しかし日本も今では景気のいい時代が終わり、人々は「安く良いもの」を求めるようになってきています。「何がなんでも有名企業のものじゃなければダメ!」と思う人も少なくなっているはずです。

ですからジェネリック医薬品がさらに普及し、実際にその安全性がある程度証明されれば、日本人も抵抗なくジェネリックを使えるようになる時代が来るのではないでしょうか。

医師の間にも、ジェネリックに不安がある!?

ジェネリックに対して不安を持っているのは、患者側だけではありません。日本では医師側も、まだジェネリックに全幅の信頼を寄せているとはいえないようです。

それでも国の努力もあり、だいぶ多くの病院で普通にジェネリックが処方されるようになってはきましたが、病院によって差が大きいのが実情です。一般的に、民間や国立の病院のほうがジェネリックの採用に積極的で、私立の大学病院などでは今ひとつというデータもあります。

ただし医師側も、薬の安全性について真摯に考えているからこそ、新しい薬に慎重になっているのだともいえます。今では薬の処方で、医師が儲けることはほとんどできない上、むしろジェネリックを処方した病院にインセンティブが発生する仕組みになっています。

ですから医師も、決して利益のためにジェネリックを採用しないわけではないのです。やはり長く処方し続けている、大手の製薬会社の薬のほうが信用できる、ということなのでしょう。

今はまだ他の病院の動向を見ながら、ジェネリックの採用を考えているという病院もあると思われます。要するに今は「過渡期」であり、今後はジェネリックを積極的に採用する病院も増えていくと思われます。

そもそも薬局にジェネリックの在庫が少ない!?

ジェネリックに対して慎重になっているのは、薬局も同じです。

というのもジェネリックの在庫を大量に抱えても、もし需要がそれほどなければ、デッドストックになってしまう恐れがあるからです。特にジェネリックの薬は、先発薬よりも1箱あたりの量が多い傾向にありますので、仕入れには慎重になる薬局が多いといわれています。

また「先発薬とジェネリックのどちらを置くか」のバランスも難しいところです。よほど大きな薬局でない限り、保管できる薬の数にも限度があります。
特にジェネリックの処方に積極的でない病院の近くにある調剤薬局では、やはり先発薬をメインに置く必要があります。ですから患者さんがジェネリックを希望しても、薬局に在庫がないというケースもあり得るのです。

病院と同じく、今は薬局側も「様子見」をしている段階であり、全体の動向を見ながら今後ジェネリックの在庫を増やしていくことになりそうです。