ジェネリック医薬品の検査体制は大丈夫なの?

ジェネリック医薬品の疑問

ジェネリック医薬品に対する不安の中でも、もっとも大きいのはその安全性についてでしょう。「新薬と違って、試験を大幅にカットできるって聞いたけれど、本当に大丈夫?」と心配になってしまう人がいてもおかしくはありません。

しかし日本では特にジェネリックの検査は厳しく、先発薬と効き目に差がほとんどないことを確認してから承認されています。

ジェネリック医薬品の検査「生物学的同等性試験」とは?

ジェネリックでは、新薬よりも治験を短縮できる…これは事実です。というのもジェネリックは、少なくとも10年は市場に流通してきた先発薬と同じ成分を同量使っていますので、安全性については実証済みと考えられるからです。

つまり副作用などのリスクは先発薬で既に確認されており、新たな試験をおこなう必要はない、とされています。

ただし成分は同じでも、ジェネリックでは添加物やコーティングの仕方などに違いがあるものもあります。それによって薬の溶け出し方やスピードなどが大きく違っては、効き目にも変化が出てしまいますので、ジェネリックではおもにこれらを調べる検査がおこなわれるのです。 その試験を「生物学的同等性試験」といいます。

たとえば内服薬では、同じ治験者に対して、先発薬とジェネリック医薬品を交互に服用してもらう「クロスオーバー法」が実施されています。それぞれ服用後に採血し、成分の血中濃度を測る検査です。
その結果、両者の数値が規定の範囲内に収まっていれば、効果はほぼ同等であると判断されます。

もともと薬の血中濃度は、その日の体調などにも多少は左右されますので、わずかな差であれば問題はありません。

薬の溶け出し方を調べる「溶出試験」とは?

もう1つ、内服薬のジェネリックでおこなわれるのが「溶出試験」です。これは薬の溶け出し方を調べる検査になります。

まずは人の消化管のpH値に合わせた溶出液をいくつか作り、それぞれに先発薬とジェネリックを入れて、溶け出すスピードを調べます。いずれも両者の差が規定内に収まっていれば、溶け出し方もほぼ同じと判断されるという仕組みです。

ちなみに生物学的同等性試験と溶出試験を2本立てでおこなっている国は、日本だけといわれています。それほど特に全身に作用しやすい内服薬に関しては、厳しいチェック体制を敷いているのです。

ただし局所的に作用する外用薬、もしくは注射薬などの場合は、動物などを使った違う方法で同等性を調べることがあります。そのせいか、「外用薬のほうが内服薬よりも先発薬との差を感じやすい」といわれることもあります。

昔に発売されたジェネリックには「品質再評価」制度も

上記の溶出試験がジェネリックに対して義務化されたのは、1997年からです。つまりそれ以前に発売されたジェネリックにはおこなわれていませんので、厚生労働省は抜き打ちで溶出試験をおこなう「品質再評価」を実施しています。

これによって過去に発売されたジェネリック医薬品に関しても、薬の溶け出し方の同等性を確認することができます。そうして認められた薬は、「医療用医薬品品質情報集(オレンジブック)」に収載され、私たちが自由に閲覧できるようになっています。

ジェネリックに対する「安全性の試験」は必要なのか?

ジェネリック医薬品に対して否定的な意見を見ると、「ジェネリックでは安全性そのものに関する試験がおこなわれていない」というものが代表的です。 確かにいずれも効果の同等性を調べる検査ばかりで、副作用などの毒性に関する試験は見当たりません。

しかしそれは前述したとおり、ジェネリックが先発薬と同一成分を同量使って作られているからです。違いは添加物や薬の製法などであり、それらを変えたからといって急に重篤な副作用が起こるようなことはまず考えられません。

ちなみに先発薬でも、発売後に添加物やコーティングなどを変更することが普通にあります。より良い薬を目指してバージョンアップするのはもちろんですが、こうすることで新たな特許を取得し、少しでもジェネリックの発売を遅らせることも重要な目的です。

先発薬がこうした変更をおこなう場合、やはりジェネリックと同じく同等性を確認する試験だけで承認されます。新たに毒性試験をおこなう義務はないのです。
つまり主成分とその量さえ同じであれば、一から安全性を確認する必要はないということがよく分かると思います。実際、この方法は世界中でおこなわれており、今まで大きな被害につながったことはないのです。

ですからジェネリックでは「検査が不十分」なのではなく、「必要のない検査はしない」のが本当だといえるでしょう。要は「効き目が先発薬と、若干違った」というケースはあっても、「ジェネリックで大変な副作用が起こった」ということはまずない、ということです。
ジェネリックで副作用が起こるということは、先発薬でも同じリスクがあるということで、両者に毒性の違いがあるとは考えられません。